日本

日本における国際共同製作

それでは国際共同製作とはどういった映画を指すのだろうか。結論からいうと、明確な定義はないと言わざるを得ない。日本のJ-Pitch事業では、複数の国による出資と日本のプロデューサーが参加することとしている。また、中国の中国電影合作製片公司では、中国の出資、1/3程度の中国人スタッフまたはキャストの参加としている。しかし、“国際共同製作”という意味では、さまざまな形態があり、定義付けるにあたって、多数の要素を含まざるを得ない。国際共同製作では、複数の国によって映画を作り成功に導くことが目的である場合とともに、資金調達が困難な監督に複数の国の出資で作品を撮らせる場合や、純粋にビジネスで企画されるものなどさまざまな形態がある。かつて、大島渚監督はフランスの出資で「愛のコリーダ」を監督した。スタッフ、キャストは日本人だが、当時、映画の国籍はフランスとなった。大島監督はその後も国際共同製作による「マックス・モン・アムール」、「戦場のメリー・クリスマス」を手がけている。同様に黒澤明監督も「デルス・ウザーラ」、「乱」、「夢」などを外国の出資で監督した。これらは、日本の偉大な監督に映画を撮らせようと海外の資本が出資したケースだが、国際共同製作として製作された作品は、その他にもたくさんある。

国際共同製作と呼ばれる作品:3つのタイプとその事例

複数の国が企画に出資し、出資国からプロデューサー、スタッフ、キャストが参加している場合

  <最近の主な作品事例>  
  • 「花影」(2007/日本、韓国の出資、キム・レウォン、山本未来が出演)
  • 「初雪の恋」(2006/日本、韓国の出資、宮崎あおい、イ・ジュンギが出演)
  • 「シルク」(2007/イタリア、カナダ、フランス、イギリス、日本の出資、マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司が出演)
  • 「鳳凰 わが愛」(2007/中国、日本の出資、中井貴一、ミャオ・ブゥが出演)
  • 「闘茶」(2008/日本、台湾が出資、香川照之、戸田恵梨香、ヴィック・チョウが出演)
  • 「夜の上海」(2007/日本、中国が出資、本木雅弘、ヴィッキー・チャオが出演)
  • 「墨攻」(2006/中国、香港、韓国、日本の出資に中国、韓国、香港の俳優が出演)
  • 「レッドクリフ」(2008/中国映画に日本、中国、韓国、アメリカ、台湾が出資、金城武、中村獅童が出演)
  • 「プラスティック・シティ」(2008/中国、フランス、ブラジル、日本の出資の映画にオダギリジョーが出演)
  • 「悲夢ヒム」(2008/韓国、日本の出資の映画にオダギリジョーが出演)
  • 「地球で最後のふたり」(2003/タイ、オランダ、フランス、シンガポール、日本の出資の映画に浅野忠信が出演)
  • 「TOKYO!」(2008/フランス、韓国、日本の出資の映画に日本人俳優が出演)
      

ある国が製作した映画に、複数の国からプロデューサー、スタッフ、キャストが参加している場合

  <最近の主な作品事例>  
  • 「力道山」(2004/韓国映画にソル・ギョング、中谷美紀が出演)
  • 「着信アリ・ファイナル」(2006/日本映画に韓国の監督、スタッフが参加)
  • 「僕の彼女はサイボーグ」(2008/日本映画に韓国の監督が参加)
  • 「ロスト・メモリーズ」(2001/韓国映画にチャン・ドンゴン、仲村トオルが出演)
  • 「鬼が来た!」(2000/ジャン・ウェン監督の中国映画に香川照之が出演)
  • 「故郷の香り」(2003/フォー・ジェンチィ監督の中国映画に香川照之が出演)
  • 「ラスト・サムライ」(2003/ハリウッド映画に渡辺謙、真田広之などが出演)
  • 「硫黄島からの手紙」(2006/ハリウッド映画に日本の俳優が出演)
  • 「モンゴル」(2007/ドイツ、カザフスタン、ロシア、モンゴルの出資映画に浅野忠信が出演)
  • 「珈琲時光」(2003/日本映画に台湾の監督が参加)
  

日本映画に外国の出資が入っている場合、その逆に外国映画に日本の会社が出資している場合

  <最近の主な作品事例>  
  • 「肩ごしの恋人」(2007/韓国映画に日本が出資)
  • 「グーグーだって猫である」(2008/日本映画に韓国が出資)
  • 「ザ・リング」(2002/日本映画のアメリカ版リメイクに日本が出資)
  • 「マリー・アントワネット」(2006/アメリカ、フランス出資の作品に日本も出資)
  • 「殯(もがり)の森」(2007/日本映画にフランスが出資)
  • 「ワン・ミス・コール」(2008/日本映画のアメリカ版リメイクに日本が出資)
  • 「トウキョウソナタ」(2008/日本映画にオランダ、香港が出資)

出典:掛尾良夫(キネマ旬報映画総合研究所取締役所長) キネマ旬報映画総合研究所