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認可済み共同製作で利用できる助成(フランス国内製作支援システムの在り方)

フランスの製作者が映画製作に利用する財源には何種類かあり、配給会社から支払われるMG(=分配金の最低保証額)(映画館、DVD、国際販売)やテレビ放映権売上などのフランス国外の財源も含まれる。年間チケット売上数がほぼ2億枚(うちフランス認可作品7000万枚)に達するフランスは、海外作品にとっても国内作品にとっても明らかに世界有数の収益性の高い市場である。また、フランスの法規で認められている財源もいくつかある。これらの財源について、海外作品での利用可能性も含めて以下に説明する。下の表は、2007年に製作されたフランス過半数出資の185作品の制作費総額に、各種財源の占める比率をまとめたものである。

2007年に製作されたフランス過半数出資の185作品の制作費総額に、各種財源の占める比率をまとめたもの

テレビ(有料および無料)による投資(放映権およびプリバイ) 30%
選択助成金(CNCおよび地方政府) 4%
自動助成金(CNC) 6%
配給会社MG(映画館、DVD、国際販売) 20%
フランス制作者による投資 26%
海外制作者による投資 10%
SOFICAs(映画・視聴覚産業出資会社) 4%

提供:Commission Nationale du Film France“France: The Co-production Guide 2008 - CNC”

2007年にCNCの認可を受けた228作品のうち、43作品がフランスの共同制作による海外作品であった。

フランス ドイツ イギリス イタリア EUその他 EU計 米国 その他 合計
1999 201 9 30 14 n.c. 296 182 56 534
2000 210 7 40 9 n.c. 297 184 51 532
2001 205 11 33 4 n.c. 286 158 60 504
2002 208 9 19 16 32 284 147 56 487
2003 217 8 28 10 30 293 155 61 509
2004 238 11 27 9 34 319 168 72 559
2005 235 16 35 13 40 339 152 59 550
2006 242 12 33 6 49 342 177 70 589
2007 262 12 30 3 32 339 176 58 573

提供:Commission Nationale du Film France“France: The Co-production Guide 2008 - CNC”

テレビ資金の重要性

フランスにおける映画製作資金のうち、かなりの割合がテレビ放送局から出資されている。これはいくつかの規制によるものである。

a) 地上波ネットワーク

第一に、4大地上波(無料放送)ネットワークは、総売上の3.2%をフランス認可作品のプリバイおよび共同制作に投資しなければならず、そのうち2.5% 以上はフランス語作品への投資でなければならない。5番目の地上波ネットワークである仏独共同運営のアルテはこの規則に従う必要はないが、やはり売上のうち同程度の割合を映画に投資している(厳密に言えば、テレビ投資はプリバイと共同制作に分かれ、その割合はフランスの製作者と放送局との力関係を反映する)。法律の規定によれば、ネットワークは投資する作品を撮影開始前に選ばなければならない。2007年に4大地上波ネットワークがプリバイまたは共同制作した作品のうち、海外過半数出資(フランス認可)作品は7作品のみであった。

b) 有料テレビ

フランスの法律では、有料テレビの映画チャンネルに対しても投資義務を定めている。これらのチャンネルは、総売り上げの9%をフランス語作品のプリバイに、12%をヨーロッパ作品に投資しなければならない。2007年にフランス有料テレビのキャナルプラス(Canal+)、TPS、シネシネマがプリバイした放映権のうち、フランスの製作者が(過半数未満の出資で)共同制作した(フランス認可)海外作品は22件のみであった。

c) テレビが求める作品

テレビ局は多額の出資を義務づけられてはいるが、購入する作品はまったく自由に選ぶことができる。その結果、プライムタイムでの高視聴率を見込める商業的な国内フランス語作品は脚本段階からきわめて需要が高く、価格は地上波ネットワークでの放映1回あたり100万ユーロを超え、最大の有料テレビでは400 万ユーロを超える。無料ネットワークと有料映画チャンネルは共にいくつかのフランス認可外国語作品にも投資しており、大半はヨーロッパの一流監督による作品である。各局の関心は、広く公開された後でプライムタイムに放映できるフランス作品かハリウッド的作品(例としてピエール・モレル監督の『Taken』〈リーアム・ニーソン主演)、オリバー・ストーン監督の『アレキサンダー』、トム・ティクヴァ監督の『パフューム ある人殺しの物語』、『トランスポーター2』、クリストフ・ガンズ監督の『サイレントヒル』など)に振り向ける資金を得ること、あるいは、ナンニ・モレッティ、ミヒャエル・ハネケ、ジャンニ・アメリオ、アモス・ギタイ、スティーヴン・フリアーズ、エマヌエーレ・クリアレーゼなどの新作のような、マスコミや映画祭の支援を受けられる芸術的レベルの高い作品を取得することである。

フランスの有料または無料テレビ局が2005年に出資したフランス認可・フランス過半数未満出資の共同製作作品の平均予算は625万ユーロであり、これはフランス過半数出資作品の平均予算を上回る。

自動助成金

自動助成金はフランスでは「Le Compte de Soutien」または「Le Soutien Automatique」と呼ばれ、フランス映画製作事情の主要要素である。

フランス認可作品の製作者および配給者はすべて、フランス国内映画館での興行成績と、ビデオ店(VHSとDVDの販売)とテレビ(放映権販売)の売上に比例した自動助成金を受ける。チケット販売数1枚当たりやDVD売上1枚当たりの助成額は、前章で述べた作品の「フランス度」を表すBSF(財政支援スケール)の値によって異なる。つまり、フランス的要素の多い作品ほどBSF値は高くなり、その作品のフランス共同製作者が受け取る自動助成額は大きくなる。それと同時に、フランス認可作品の映画館配給会社も自動助成を受け、これもチケット売上枚数に比例した額となる。助成金はフランス製作者(配給会社も同様)のCNC口座に直接入金され、受け取った助成金は(フランス認可の)作品に再投資しなければならない。したがって、この資金はその製作者の(フランス認可の)次回作の資金に充てることができる。

外国作品のフランスにおける権利の価値は、フランス認可を受ければ大幅に上がる。なぜなら、その権利を使用するたびに自動助成金を受けられ、次回作の資金に利用できるからである。

したがって、「映画プロジェクトをフランスの共同製作者にとってもっと魅力的なものにするには?」という質問には答えがある。それは、「できるだけ多くのフランス的要素を取り入れ、作品にフランス認可を受けること」、そして、それによってフランスの共同製作者や配給会社に支払われる自動助成金を増やすことである。取り入れられる要素には、キャスト、スタッフ、ロケ地、ポストプロダクション設備、VFX会社などがある。

では、そうした人材や施設を探すには? フランス国立映画委員会(フィルム・フランス)に支援を要請されたい。国内37カ所の地方映画委員会のネットワークも利用できる。

ケーススタディ

フランス認可の外国語映画がフランスで公開され、10万枚のチケットを売り上げたとすると、興行収入は約57万ユーロである。映画館は通常、国内収入の 50%を留保するので、配給会社の総収入は28.5万ユーロとなる。この映画のDVDが1枚15ユーロで1万枚売れ、ある映画チャンネルが放映権を10万ユーロで購入する。フランス過半数未満出資の共同製作作品で、外国語で撮影されているため、助成率(BSF、1章参照)は50である。映画館の入場料収入、DVD売上、テレビ放映権の売上に基づき、約4万ユーロの自動助成金が製作者のCNC口座に入金される。また、入場料収入に基づき、配給会社の口座にも9.5万ユーロが支給される。したがって、自動助成金の総額は約13.5万ユーロである。これは興行収入の配給会社取り分のおよそ半分に当たる。

配給会社はP&A(プリント費と広告費)の回収後にしか権利所有者への支払いを行なえないので、公開時に製作者に戻る資金はなく、製作者にとっては自動助成金が唯一または最大の収入となる。したがって、自動助成金は製作者のリスク評価式に非常に大きな影響を与える。このような仕組みがあるため、外国映画はフランス認可を受けられさえすれば、フランスの製作者や配給会社にとってはるかに関心の高いものになる。このため、フランスの配給会社は、フランス認可作品として公開する外国映画の共同製作者となることが多い。

国および地方の選択助成金

a. 国の助成: 収入前払い金

最も重要な国の助成金は「Avance sur Recettes(収入前払い金)」として広く知られている返済型の助成金である。毎年55件前後のプロジェクトが助成を受けており、助成作品は、創作界(製作者、監督、配給会社、脚本家、出版社、批評家)から選ばれたメンバーからなる委員会が脚本段階で作品の文化的価値を基準に選考する。ただし、対象プロジェクトはフランス語(またはフランスの地域語)のもののみであるため、国外ではベルギー、スイス、ケベック州などフランス語圏に範囲が限られる。この選択助成制度を通じて、昨年は総額2100万ユーロが支給された。2007年は、助成対象作品のうち5件のみがフランス過半数未満出資の共同製作であった。

b. ドイツ・カナダとの共同製作への特別助成

  1. ドイツの映画・テレビ関係の国の機関であるドイツ連邦映画評議会(FFA)とフランスのCNCは選択的助成基金を創設し、両国の製作者による共同製作に毎年返済型助成金を提供している。基金には両国が出資する(2006年のフランス側の拠出額は160万ユーロ)。選考されたプロジェクトには、両国から各国の拠出額に比例した額の助成金が支給される。2006年には9件のプロジェクトが選ばれた。
  2. カナダの映画・テレビ関係の国の機関であるテレフィルム・カナダとフランスのCNCは1983年に選択的助成基金を創設し、毎年4~5件の両国の製作者による共同製作に返済型助成金を提供している。基金には両国が出資する(フランス側の拠出額は76.2万ユーロ)。選考されたプロジェクトには、両国から各国の拠出額に比例した額の助成金が支給される。

提供:Commission Nationale du Film France“France: The Co-production Guide 2008 - CNC”