カナダ

国際共同製作について

条約による共同製作

現在カナダ政府は、53カ国と共同製作条約を締結している。カナダ人プロデューサーと外国人プロデューサーは、この条約に従い、それぞれの国の特典を利用しながらクリエイティブ面や芸術面、技術面、資金面で連携してTV番組や映画を共同製作することができる。

2008年は、条約による共同製作の総製作費が前年比48%減の2億9,800万加ドルに落ち込んだ。これは、条約ベースの共同製作の中でも映画部門の総製作費が激減したことが原因。特に、従来の製作パートナー国であった英国とフランスとの共同製作が激減しており、映画部門単体で2億6,400万加ドルもの減少を記録している。

映画の定義

カナダの場合、国際共同製作協定による共同製作以外の作品 がカナダ映画とみなされるためには、1. プロデューサーの所有権と法的規制、2. 製作サイドの獲得ポイント、3. 製作費用、撮影後の編集費用、現像費用の3つの分野において基本的条件を満たさなければならない。これらの基本条件の内容については、カナダの映像コンテンツ監督当局であるラジオテレビ電気通信委員会、カナダオーディオビジュアル作品税務局(CAVCO)、テレフィルム・カナダ、カナダテレビ基金の規則に詳述されている。

1. プロデューサーの所有権と法的規制

この分野の条件を満たすには、映画事業のプロデューサーまたはプロデューサー関連職務を担当する者は、カナダ人でなければならない。「カナダ人」とは、関連するいかなる時点においても、カナダ市民権法に定めるカナダ国民である者と定義される。また「関連するいかなる時点においてもカナダ人である」とは、当該個人が、映画製作にかかわる職務を開始した時点および撮影、収録、編集の全工程を通じて、カナダ人でなければならないことを意味する。映画製作中のいずれかの時点で、「カナダ人」の資格を得るために永住資格を獲得してはならない。かかる永住資格は、当該個人が何らかの映画製作活動に従事する以前にその地位を確認されねばならない。

法人所有権(’the ownership of corporations’)との関連での「カナダ人」の正確な定義は、カナダ投資法第3項に明記されており、カナダ視聴覚作品税務局(CAVCO)は「カナダ映画ビデオ製作税額控除制度」を通じて同法を施行している。法人所有権の定義において、「カナダ人」とは以下を意味する。

  • カナダ国民
  • 移民難民保護法(2001年)の範囲内の永住者であり、カナダ市民権の申請資格を初めて得た時点から1年以下の期間、カナダに通常居住していた者
  • カナダ政府(連邦政府、州政府、地方政府、それらの傘下機関を問わず)、もしくは、第26(1)または(2)号が定めるカナダ法の規制を受ける団体であり、かつ第26(2.1)または(2.2)号に規定または言明がなされていない者

さらに申請者は、一課税年度のあいだ資格を満たす法人でなければならない。すなわち一年を通じて、所定の課税対象となるカナダ企業であり、当該年度のその法人の活動が、主として、カナダ国内に存在するカナダ映画またはビデオ製作事業に関する恒久的施設を通じて運営されるものとする。

2. 製作サイドの獲得ポイント

この分野の条件を満たすには、主な製作業務の一定部分以上が、カナダ人によって行われねばならない。カナダ人が当該業務を担当する場合、または当該活動がカナダで行われる場合に、ポイントが付与される。ポイントシステムは以下の2種類に分けられる。

アニメーション以外の作品 (実写)

実写作品がカナダ映画とみなされるためには、以下のスケールに従って合計6ポイント以上を獲得しなければならない。(当該業務を提供した個人がカナダ人である場合、ポイントが付与される)

監督 2ポイント
脚本家 2ポイント
主演俳優(または主演声優) 1ポイント
準主演俳優(または準主演声優) 1ポイント
撮影監督*1 1ポイント
美術監督*2 1ポイント
音楽監督(作曲家)*3 1ポイント
編集 1ポイント
  • *1 ビデオ作品の場合、撮影監督に相当するのは「技術監督」または「照明監督」、編集に相当するのは「オフライン編集」。
  • *2 美術監督とは美術部門の責任者を指す。場合によっては、「プロダクションデザイナー」の肩書きの場合もある。
  • *3 当該作品の音楽が、その作品のため作曲されたオリジナルの場合に限り、音楽監督にポイントが付与される。

加えて、監督と脚本家のいずれかはカナダ人でなければならないため、両者に対し2ポイントまたは4ポイントが付与される。さらに主要二役のいずれかはカナダ人が務めねばならないことから、主演・準主演俳優に付与される2ポイントのうち1ポイントを獲得することになる。

以上の規則に対し、いくつかの例外も認められる。たとえば上記の表に記載された役職全てをカナダ人が担当する場合、監督と脚本家がカナダ人以外であっても認められるだろう。同じく全ての役職がカナダ人の場合、主要二役がどちらもカナダ人以外であっても認められる。他方、テレフィルム・カナダが運営するカナダ長編映画基金では、カナダ特有の視点(すなわち、カナダの社会や文化的多様性を反映した製作要素)を扱った作品を重視するため、最低8ポイントを獲得しなければならない。この場合、脚本と監督がカナダ人で、かつ主演もカナダ人俳優でなければならない。さらに、俳優または美術監督・音楽監督などのその他の役職が不要なドキュメンタリー作品の場合、たとえ付与ポイントが最大で6ポイントに満たない場合であっても、製作サイドにカナダ人を含むという要件を満たさねばならない。この場合、製作サイドの全ての役職をカナダ人が占めねばならない。

アニメーション作品

アニメーション作品がカナダ映画とみなされるためには、以下のスケールに従って合計6ポイント以上を獲得しなければならない。(当該業務を提供した個人がカナダ人である場合、ポイントが付与される)

監督 1ポイント
脚本家および絵コンテ統括 1ポイント
主演声優および準主演声優(主演俳優または準主演俳優) 1ポイント
作画監督(美術監督) 1ポイント
カメラマン(担当者)およびカナダでの撮影(ロケ地) 1ポイント
音楽監督(作曲家)*1 1ポイント
編集 1ポイント
  • *1 音楽が、その作品のため作曲されたオリジナルの場合に限り、音楽監督にポイントが付与される。

作業の実施場所がカナダである場合、以下のポイントが付与される。

背景、レイアウト 1ポイント
原画 1ポイント
作画、中割り 1ポイント

*当該作業がカナダで実施されたことを示す証明書が必要とされる。

一般にアニメーション作品が「カナダ作品」とみなされるためには、以下の担当者、作業実施場所、またはその双方がカナダ人もしくはカナダでなければならない:監督または脚本家・絵コンテ統括(担当者)、原画(作成場所)、主演・準主演声優(または主演・準主演俳優)。

全般的規則

製作サイドの単一の役職を1名のカナダ人が1名以上の非カナダ人と分担している場合、当該カナダ人にポイントは付与されない。これは具体的には監督と脚本家を指すものだが、場合によっては、カナダ人と非カナダ人が共同で執筆した作品が、カナダ映画の条件を満たすこともある。単一の役職を複数の人間が担当する場合、その役職のクレジットに名前を連ねた者の数にかかわらず、規定のポイント数のみが付与される。テレビシリーズや連作映画の場合、シリーズの各エピソードまたは連作中の個々の作品について、規定の要件を満たさねばならない。

主演俳優

CAVCOは、実質的な主演俳優は誰かを判断するにあたり、3つの基準を使用している。アニメーション以外の作品の場合、この基準とは1)報酬(あらゆる種類の手当、再使用料、旅費、生活費などを含む)、2)広告での名前の掲載順、3)画面に登場する時間である。アニメーション作品の場合、CAVCOは、受け取り報酬(手当、再使用料、旅費、生活費などを含む) と作品中に声が流れる時間の長さに応じて、実質的な主演声優の判断を行っている。

俳優または女優とは、台詞をしゃべる、場面を演じる、たとえ会話がなくとも役柄の解釈に基づくパフォーマンスを行うなどの活動に従事する個人を指す。俳優・女優がいない場合、次の役割のいずれかを演じた人物を、主演俳優に相当する者とみなすことができる: ダンサー、歌手、特殊な出し物・芸のパフォーマー、案内役(ナレーションを朗読したパフォーマー)、画面に登場しないパフォーマー(演劇作品でナレーター以外に画面に映らない役を演じたパフォーマー)、または映画・アニメーション作品で登場人物の声を演じた(または朗読した)俳優。ニュース番組のゲスト、自伝的ドキュメンタリーの取材対象は、カナダ映画の認証においてパフォーマーとみなされない。

脚本家

脚本家のポイントを獲得するには、当該作品が以下の条件を満たさねばならない。

  • 当該作品の脚本作成にかかわった個人各々が、カナダ人でなければならない。すなわち、概要・構成から様々な草案作成(コンサルタントや編集者を含む)、台詞の推敲、最終台本までの脚本作成に携わった者すべてが、カナダ人でなければならない。
  • 主な脚本家がカナダ人であり、かつ当該作品の脚本が、カナダ人が執筆しカナダで出版された著作を原作としている。

3. 製作費用、撮影後の編集費用、現像費用

カナダ映画とみなされるためには、総制作費の75%以上が、カナダ人に支払われねばならなが、以下の費用は除外される。

  • プロデューサーおよび共同プロデューサーへの報酬 (プロデューサーに関連する役職を除く)
  • ポイント獲得資格を有する製作スタッフへの報酬
  • 撮影後の編集費用、現像費用
  • 会計費用、法的費用
  • 保険仲介費用、資金調達費用
  • 間接費用
  • 臨時費用
  • フィルム、ビデオテープなどの備品購入費
  • 製作に直接関係しないその他費用

加えて、撮影後の編集費用・現像費用として生じた全費用の75%以上は、カナダ人およびカナダ企業によりカナダ国内で提供されるサービスへの支払いでなければならない。ただし、作品の編集担当者に支払われる費用は除外される。

カナダが共同製作協定を締結している国に関しては、上述の条件が変更されることがある。2008年時点で、カナダは52か国と共同製作協定を締結しており、日本と共同製作協定を結んでいる唯一の国家である。

提供:Telefilm Canada